(3)について
税務署の徴収能力が高く、社会保険事務所の徴収能力が弱いような誤解がありますが、現実には、同じ人員、同じ事務量をこなすなら税務署も社会保険事務所も徴収能力に差はないと思います。

法律上は社会保険料の先取り特権は「国税、地方税に次ぐ」となっていますので、税務署と社会保険事務所が同時に同じ会社に差し押さえに行けば社会保険事務所は税務署に譲る必要があります。しかし、現実には、社会保険事務所では厚生年金保険・健康保険の保険料については毎月納付ですので、毎月の納付状況をしっかりと管理しています。また、延滞先に発する督促状についても条文で「督促状を発する」と明定し、各月毎に督促状発送日が決められていますので、必ず督促状を発します。そして、督促状が出たにもかかわらず延滞する先については「税務署より先に」社会保険事務所の職員が訪問し、必要なら差し押さえをしてしまいます。

これは、毎月保険料の納付事務を管理しているからできるワザです。

国民年金では、条文上滞納者に対しては「督促状を発することができる」となっています。この部分を「督促状を発する」に改定すれば、滞納者に対しては必ず督促状を発することになりますし、前述の徴収能力を駆使すれば滞納者に対する差し押さえも容易にできます。

しかし、大事なことは、そこまでする必要があるのかという点だと思います。

国民年金財政から考えると滞納した期間については将来その分保険給付が減るわけですから何ら痛痒がないわけです。しかし、滞納者が将来無年金者になれば生活保護等で税金を投入する必要があるわけですから、日本全体の社会保障制度の一環として考えるなら、滞納を放置することは好ましくないでしょう。

問題は、滞納者に対してどの程度強制的に徴収するかというさじ加減の問題だと思います。この部分は非常にデリケートな問題であり、法律で一律的に規定できることでもないと思います。

また、滞納者の方のお話を聞くと殆ど「将来貰えないかもしれない」とか「年金は信用できない」という具合に年金に対する誤解から滞納しているようです。もちろん経済的な理由もあると思いますが、経済的な理由だけですと免除申請等をしていただければいいわけですので、免除申請等もしない原因の大きな一因は年金に対する誤解でしょう。

話が横道にそれましたが
(1)(2)(3)より現在の保険料方式を税法式に切り替えることは、国民の権利性を失わせるだけでなく、国民に負担増となりますので、反対します。